つなぐ。つながる。

最近観た写真展で「誰に」「何を」見せたいのか。

それが大事だよと言う事を教わった。


普段から行き当たりバッタリで、今回の一連の撮影も「毎月、同じ場所で、同じ衣装で妊娠の経過を記録する」という大雑把な方針だけで撮り始めたのが、どんどん拡がっただけなので、最初から今回の展示をイメージしていたわけでもなく、なんなら展示すら考えていなかったのが本当のところなので、のんポ展を前にしてハタと考えてしまった。


自分は「誰に」「何を」見せようとしてるんだろう?


まみこちゃんが母になっていく過程を記録しながら、ふと彼女の子ども時代の事が知りたくなり栃木まで遠征しました。

子どもの頃遊んでいた公園や通っていた学校。

通学路でボーっと歩いていて標識に激突したエピソードや中学の緑ジャージが懐かしいなんて話を聞きながら、ここで青春を過ごした娘さんが東京で伴侶にめぐり合い、そして今、母になろうとしてるんだなぁなんてちょっと感傷にふけったりしました。

同時に、実は彼女のお母さんの事を考えていました。

どんな気持ちなんだろう?


阿佐ヶ谷の部屋で毎月撮影を組んだのは、次第に膨らんでいくお腹の変化を定点観測的に記録したかったからです。

とは言え、それだけだと時間を持て余してしまうので毎回何かしら別企画を入れていました。

釣りだったりメガネだったりサッカーユニフォームだったり。

出産前最後になるであろう撮影日には、さすがにネタ切れだったんですが、糸電話の撮影企画をひねり出しました。

まぁベタなんですが(汗)

その後、展示のレイアウトを考えている時に、産まれてきた赤ちゃんと話しているのをオチとして撮る事にしました。


今回、糸電話の組み写真が好評で、自分としても好きなコーナーです。

展示に使った糸電話は撮影の時に実際使ったもので、実は撮影時にこはるちゃんに握りつぶされたのを修復したものです(笑)

糸電話の破壊に夢中なこはるちゃんの視線をカメラに向けさせようと必死になって手を振り声をかけるカメラマンを見て爆笑してるのが、あの写真のまみこちゃんの笑顔の真相です。


今思えば、栃木の遠征も、糸電話の演出も「つなぐ。つながる。」というテーマらしきものを、ぼんやりと意識してた様です。

撮ってる時も、構成を考えている時も、テーマってあまり気にしてなかったんです。

ステートメントのタイトルも、直前まで違うものでした。

なんだかバラバラに集めてきたピースを並べているうちに、テーマがあぶり出されてきた感じもします。

結局やっぱりいつも行き当たりバッタリなんですよね。

適当でスイマセン。


今回の展示では娘から母へと変わっていくひとりの女性の姿を通して「しあわせ」について想いを馳せて欲しかったんです。

のんポ展は素人カメラマンのグループ展だから、ほとんどの来場者はいわゆる「界隈」の人です。

だけど今回はカメラマンとかモデルとかの立場ではなく、ひとりの人として見て欲しいなぁと思ってました。

娘だったり、息子だったり、(将来の)母親として、(将来の)父親として。


もちろん、全ての人が同じように「しあわせ」を感じられる状況じゃない事は知っています。

胸がつぶれるようなニュースも頻繁に耳にします。

だけど、少なくともここに今、しあわせな母の姿がある事を見つけて欲しかったんです。

そしてそれがいつか何かの形でつながれば良いなぁとも。


いただいたコメントを読みながら、少しは伝わってくれたかなぁと思い、ちょっと泣きそうになりました。

あらためて写真は素敵だなぁと思います。

そして、のんポ展に来てくれた皆さんも素敵でした。


そんな事がどんどんつながってくれるのが、今の僕の願いです。


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