「警視総監殿、いま義理と人情は女がやっております」

ポートレート界のニュースター、井上怜愛ちゃんが出演する舞台を見てきました。

ツイッターで「今度けしからん撮影しましょうね!」なんて19歳に言われて浮き足立った57歳が年甲斐も無く突撃してきたわけです。


題して「売春捜査官」


つかこうへい(呼び捨てすいません)の代表的戯曲「熱海殺人事件」の派生版ともいえる作品らしいです←

ぶっちゃけ知りませんでした。

不勉強ですいません。


ただですね、つかさんは間違いなく俺の人となりに影響を与えた作家さんの一人であることは間違いないです。

森野熊造なんてハンドルネームからして推して知るべしです(笑)


つかこうへい作品は主に小説で摂取していたクチで、実はリアルタイムで舞台を観られてないんです(泣)

貧乏学生だったのと、人気過ぎてチケットが手に入らなかったんよ。

いつかは!なんて思ってたら劇団解散しちゃったんだよね。

あれはショックだったなー。

安室ちゃんの引退どころの騒ぎじゃなかった。個人的には。


つかこうへいについては俺が語るまでもなく、さらに語りだしちゃうと長くなるんでやめておきます。

誰だ!ホッと胸をなでおろしているのは!


とは言えこれから観にいこう!なんて人が面食らっちゃうといけないんでサラッと触れておきます。


主人公は警視庁の部長刑事 木村伝兵衛

女なのに何故かこの名前です。

ここからすでにカオスなんですが、元になった熱海殺人事件では普通に男です。

怜愛ちゃんが演じているのはこの木村伝兵衛

こいつがまぁ傲慢で卑劣で差別意識がすごくて、特に朝鮮人と田舎者を愚弄し罵倒する超のつくクソ野郎です。

つか作品に出てくるキャラの典型でもあります(笑)

そこへ八王子署からかつての恋人、熊田留吉が転勤してくる。

部下はホモの刑事、鳥居万平

そして熱海の海岸でブスの幼馴染を殺した罪で送られてくる犯人が大山金太郎

あぁ、懐かしい。


「熱海殺人事件」では殺されたのがブスだってのが気に食わない木村部長刑事が、三流の事件を自分が捜査するに足る一流の事件に育て上げるってのが話の筋でしたが、本作はちょっと違いました。あたりまえだけど。

ここまで読んでお分かりでしょうが、昨今のポリコレ気質な人が、口角泡を飛ばし怒髪天を突く勢いで怒鳴り込んできそうな芝居なわけです。

もうね、差別とハラスメントの豪華絢爛幕の内弁当な話です。


ただひとつ付け加えておくと、物語の根底には人への深い愛情と人生の哀切があります。

言葉尻だけ捉えれば酷い内容なんだけど、物語が大団円を迎える頃には別の感慨を持って胸に響きます。

つかさんはご自身が在日韓国人二世として生まれ差別に苦しみ、「いつかこうへいに」からぺネームを取ったとも言われています。

そんなピュアな魂が言わせるセリフだからこそ、40年たった今でも愛される戯曲なんでしょう。


さて、お約束の「白鳥の湖」の大音響から受話器で話す(半ば叫ぶ)木村伝兵衛のシーンで幕開けです。

研究生の卒業公演って事で緊張感もハンパないでしょう。

観ているこっちまでドキドキします。

しかも、研究生がいくつかのチームに分かれて公演するんで、出演日は飛び飛びです。

たいてい演劇の公演は5日とか1週間くらい続くので、初日にめちゃんこ出たダメ出しも日を追うごとにこなれて良くなって行くんですが、こりゃ毎回が初日みたいなもんです。

大変だぁ。


つか作品はとにかくセリフ量がハンパない。

しかもほぼ絶叫に近いテンションでしゃべり倒すから体力的にも相当きついはず。

この日もスタートからフルスロットルで、ほぼ90分間全速力で駆け抜けてました。

さすがに序盤は硬さも見られましたが、後半は演者さん達の呼吸も合ってきて話しに引き込まれる。

海岸の回想シーン辺りはテンションも変わってちょっと泣きそうになる場面も。


怜愛ちゃんは小さいながらも存在感があって華もありました。

なにより目力がすごい。

実は映画館のノリでうっかりど真ん中に座っちゃったもんだから、眼光鋭く睨みつけられたりなんかしてチビりそうになる(情けな)


あ、そうそう。

ここはちゃんとイス席なんで楽ですよ。

芝居と言えば桟敷席ばっかりだったんで、ちょっと膝とか心配だったんですけど杞憂に終わりました(笑)ありがたや。

足腰立たなくて帰れなかったら恥ずかしいもんな。

小劇場ブームの頃、人気の劇団は桟敷席で「ヨイショ」とか言ってめっちゃ詰め込まれたからちょっとトラウマなんですよ。


決めポーズやダンスもキレキレで、さすがです。

かわいい顔からは想像もつかないお下品なセリフも堂々としてて、根性も座ってます。

だてに美〇ージュで鍛えられてないですねw


登場人物は4人の一幕物です。

ひとりうまいなーと思った役者さんがいたんですが、後でホームページ見たら準劇団員の方でした。

さもありなん。

研究生男性陣のおふたりは大汗かいての大熱演でしたが、ちょっと汗とかヨダレとかが気になる(笑)

最前列に座る際はご注意を!


でもですね、研究生とは言え皆さんの熱量はハンパないです。

しかもこれだけのセリフを身体に叩き込むのは並大抵の稽古量じゃないと思われます。

さらにダンスまであるからなー!

俺なんか絶対無理。

最初の30秒で酸欠で倒れるわ。

そもそもセリフ覚えられないしね。

手にも書ききれる量じゃないしなー(いたな、そんな奴w)


この芝居をやりきれれば、この先役者さんを続けるにしろ、別の道に進むにしても、貴重な経験になると思いますよ。

あまり細かく書いて先入観与えてもあれなんでこの辺で。

お時間がある方は是非!


久しぶりに演劇にふれて、ちょっと今年はもっと芝居を観にいこうかななんて思いました。

怜愛ちゃんの参加するDチームしか観れてませんが、他のチームも興味ありです。

この日は赤羽から歩いて大汗かきましたが、バス停が近くにあることを発見したので次からは楽なはず。


ところで肝心の撮影の方はなかなか予定が合わなくて実現出来てません。

「もりくまさん。いつになったら私のパンチラ盗撮に来てくれるんですか!それともパンツを盗み撮りする価値すら無い女だってことですか!」

とか眼光鋭く睨みつけ、口の端にはうっすら笑みをたたえた表情で啖呵をきってもらいたい(ドM魂発動)

ややや、すいませんすいません。

調整頑張ります。

上司だまして休み取ります←


怜愛ちゃんは小柄だけど均整のとれたプロポーション

もりくまの見立てではズバリ78!

え?何の話かって?

芝居を観るとわかる仕掛けです(笑)


★☆北区AKT STAGE 劇団第6期生卒業公演『売春捜査官』『熱海殺人事件~友よ、いま君は風に吹かれて~』


怜愛ちゃんのDチームは

2月10日(土)15時から

2月25日(土)15時から(ペガサスホール)

がありますよー!

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