「まみこ。24歳」あとがき

森野の場合、初めてのモデルさんでいきなりリク撮を依頼する事はまずありません。

それがどんなに魅力的なモデルさんでも、一度は撮影会なんかで面識を持ってからです。

何でまみこさんにはいきなりオファしちゃったんだろう?って思ってたんですが、先日ふと気がつきました。


暑かった夏の名残を残しながらも、吹く風が心地よい夕暮れ。

茜色が群青色へ変わるころ。

放課後の校庭は無条件に切ない。

まだ部活を続けている明かりにふと気がつく。

目をやると真剣な眼差しと凛とした所作の少女が見える。

胸の奥でトクンと音がした。


「じゃあさ、じゃんけんで負けた奴から好きなコの名前言うのな」

「えぇ、まじかよー」

ニヤける男子たちは高校生にもなって、やる事といえば小学生と同じだ。

嫌な予感は的中し、じゃんけんに負けた俺が先陣を切る事になった。

「まみこ」

一瞬その場にいる全員が固まるのがわかった。

「まじかよ、俺もだよ」

「うそ、俺も」

「なんだよそれ、皆んなかよ」

クラスで特に目立つわけでも、特別に勉強ができるわけでもないのに、なぜか気になる存在。

クラスの男子のほとんどが好意を抱いていたというオチだ。


社会人になってそろそろ落ち着いてきた。

暇つぶしに街に出ることにした。

普段は家でゴロゴロするのがお決まりだったが、なぜだかその日は出かける気になった。


「森野くん?」

「え?まみこちゃん?」

休日の街角。

慌ただしく行き交う人混み。

出会うはずもない偶然。

胸の奥でトクンと音がする。

懐かしさと緊張感で言葉が出ない。

「ひさしぶりー!元気そうだね。懐かしいねー」

満面の笑顔に緊張は溶けて消え去り、そういえばちゃんと話したことがなかったなぁと思い出す。

時を隔てた今だからこそ、話したいことや聞きたいこともある。


学生のころに、ほのかな恋心を抱いていた女性との偶然の再会。

今を逃したらもうこんなチャンスはないのだろう。

普段なら決して言わないセリフが意思とは別に口をついた。

「ねぇ、ちょっと時間ある?」


そんな感じ(なげーよ)


初めましてなんだけど、なんだか懐かしいような。

古くからの知り合いのようでもあったりします。

感覚的には学生時代、それも中学とか高校とか思いを伝えられないシャイな時代にほんのり好きだったコに再会したイメージなんだよね。


実際にはリアルで親子ほど歳離れてますが(笑)


いろいろネタ的なことにも積極的に参加してくれてめっちゃ楽しかったです。

誰もやった事がない的な事をまたやりましょう!



ちょっとしあわせ

Just a Little Happiness

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